「先輩が謝る必要ないですよ。僕が勝手に待っていただけですから」


前髪から滴り落ちる雨の滴がユーヤの頬を濡らす。


茶色くいつも綺麗にセットされている髪はシャンプーをした後のように濡れていて。


その髪を少しだけウザそうにかき上げるユーヤから目が離せなかった。


ユーヤが泣いているような気がしたから。


顔は笑っているのに心が涙を流しているようで。



「……ユーヤ……」


あたしは思わずユーヤの体をギュッと抱きしめた。