全身に冷たい雨を浴びながら歩いていると、ふと前から歩いてきた二人組の高校生が目にとまった。


あたしと同じ制服を着ているところを見ると、きっと後輩だろう。


二人はずぶ濡れになっているあたしの存在に気付き、一瞬驚いた表情を浮かべたあとすぐに目を反らした。


「……――誰か待ってたのかな?」


「校門に立ってるってことはそうなんじゃない?」


二人があたしの横を通り過ぎた時、そんな何気ない会話が耳に届いた。


「……ユーヤ……」


陽とのことに気を取られ、まだユーヤからの返信を見ていない。



妙な胸騒ぎを覚え携帯を取り出し画面を覗き込むと、新着メールありと表示されていた。


『先輩傘持ってないですよね?それだけ渡したいので待ってます』