殴られる。


咄嗟にギュッと目をつぶり頬に力を入れると、その拳はあたしの横の枕に打ち込まれた。


「……もういい。帰れ」


恐る恐る目を開けると陽はあたしからパッと離れ、テーブルの上の煙草に火を付けた。


すぐに白い煙は部屋の中を包み込む。


「金はもういい。つーかお前彼氏いんの?」


さっきまでとは一転し、普段通り話しかけてくる陽にあたしは身構えながらも乱れた制服を直した。