「夏海も一緒じゃないの……?」


陽と二人で会うなんてあり得ない。


焦ってそう聞くも、夏海の言葉は残酷だった。


「今日は予定があるの。陽と話が終わったらすぐに帰りなさいよ」


「ちょっと……!夏海……!!」


「離して。汚い手であたしに触らないで」


教室から出ていこうとする夏海の腕を掴むと、夏海は冷たい目であたしを睨み付けた。


汚いのはどっちよ……。


彼氏を取られたのも、学校で酷い扱いを受けてるのも……


全部あたしだよ?


「……もう嫌……」


腕を振り払われたあたしは、ただ小さくなっていく夏海の背中を目で追うことしかできなかった。