…けれど、どんなに願っても、叶わないこともあった。

わたしの犬を殺したヤツのことだ。

今でものうのうと、近所に住んでいやがる。

腹が立ってしょーがない。

わたしは思い出すたびに、むかむかしていた。

それを抑える為に、いつも近所の神社に来ていた。

今時珍しく、土の上に建つ神社。

犬とよく散歩に来ていた。

犬はここの狛犬が好きで、よくじゃれ付いてたっけ。

思い出深い場所に来ると、ほっとする。

……しかし、ちょっとイヤな気分にもなる。

この土道を歩くと、何かに吸い込まれそうな気分になる。

この場所を離れると、体がずっしりと重くなる。