「何?あいつらが言ったこと気にしてんの?」 龍心はカップルをジッと横目に、あたしに問い掛けた。 「……別にそんなことないけど……」 龍心にも聞かれたんだ……。 胸がギュッと締め付けられ、変な汗が手に滲む。 「だったら、それ返せ」 そう言うと龍心はあたしの手からおにぎりを奪い返して、ニヤッと笑いながらおにぎりを頬張った。 「あ~、旨い。やっぱ手作りのものって最高だよな。市販の物とは違うわ」 「……龍心?」 龍心はわざとカップルに聞こえるくらいの声でそう言い放った。