ったく。 明菜のせいで、変な女に絡まれたじゃねぇーか。 我慢の限界に達して、明菜に文句の電話を入れようと携帯を取り出した瞬間。 「……龍心、今の人達誰?」 目の前には露骨に怒りを露わにして、俺を睨む明菜が立っていた。 「遅せぇーよ」 「誤魔化さないでちゃんと答えてよ!」 「お前が遅いから変な女に絡まれたんだよ」 「……ふぅん。浮気してたのかと思った」 そう言うと明菜は表情を緩め、「遅れてごめんね!!」と付け加えて、俺の手をギュッと握った。