でも、明菜はあの一件を既に吹っ切っているのかもしれない。


俺が大虎を悪く言った時、明菜はそれを否定した。


『……違うよ!杉崎君はそんな人じゃない!』


明菜と大虎の事をいつまでも引きずっているのは、他の誰でもない……俺自身だ。



「今まで本当に悪かった……。龍心の気が済むまで殴ってくれよ。



「もういいって。じゃあな」


チビの入っている段ボールを持ち上げ、大虎に背中を向けて歩き出すと、



「……また、遊びに来いよ!!」


大虎の声が背中にぶつかり、俺は右手を上げてその声に答えた。