―――龍心サイド――― ようやく教師から解放されて明菜の部屋に向かう途中、荒木と廊下でバッタリ会った。 『あれ?小林君、どうしたの……?』 眠そうな目を擦り、俺にそう聞く荒木。 『明菜、もう寝てる?』 『……え?明菜?小林君と一緒じゃなかったの?』 『何で?』 『だって明菜、部屋にいなかったから……。てっきり小林君と一緒にいるんだと思ってた』 明菜が部屋にいない……? 『分かった。引き止めてわりぃ』 俺は大きな欠伸をする荒木に謝り、非常階段を駆け降りた。