でも、一人で意識のない女を軽がる運べるはずもなくて。 俺は周りの通行人に白い目で見られながら、お姫様抱っこというもので佐和を家まで運んだ。 「……なぁ、いい加減起きろよ。マジで襲うぞ?」 無防備な顔で気持ちよさそうに眠っている佐和の髪を撫でると、佐和は眉間に皺を寄せる。 ったく。 こいつ、誰の前でもこんなに無防備なのかよ。 そう考えると少しだけムカつく。 この寝顔を何人の男が見たんだろう。 そんなことを考えて勝手に腹を立たせている自分が情けない。