「器量がよさそうな人だね」


 マスターがそう言って笑う。


「うん。俺もこの子だけは大切に思ってるしね」


 俺がそう言い、いつも通りカウンター席に座る。


「いつものをウエルダンで二人分頼むよ」


「了解」


 千奈美はレアのステーキは食べないようで、俺と趣向が一致していた。


 目の前の鉄板で国産の牛肉が焼かれる。


 ジュワーという音が立って肉が両面ウエルダンで焼かれた。


 俺はそれを眺めながら、彼女と話をする。


「浩介さん、いつもこんな美味しそうなものばかり食べてるの?」


「うん。……別にいいだろ?普段しっかり稼いでるわけだし」


「そうね。確かにお仕事大変そうだもんね」