幸い金は潤沢(じゅんたく)にある。


 千奈美と二人で暮らす場所を確保することぐらい出来た。


 俺は普段から相当稼いでいるので、基本的に金銭感覚はない。


 それが財閥の御曹司を象徴していた。


 ろくな社会経験もなく、単に会社の執務室で淡々と書類に目を通すだけの身なのだから……。


 だが、俺は今度の休みの日を楽しみにしていた。


 千奈美と会って、また互いに温め合えることを思いながら……。


 そして俺は龍造とは、いずれ何かしらの形で決着を付けないといけないと考えていた。


 それが一番残酷な手段――つまり商社間での取引を始め、全てにおいて絶縁しまうということだが――であったにしても……。