先に千奈美が出ていったので、俺も追ってホテルを出る。


 今日も六本木の街は活気付いていて、賑やかだ。


 俺はクリスマスが近いのが分かっていたので、千奈美に何を買ってあげようか迷っていた。


 彼女は単なる一会社員で、まとまった金を持っていない。
 

 俺は本来ならイブの日にでも、女性が欲しがるリングなどを見に行きたかった。


 だが、その日は平日で互いに普段通り仕事があるので、一緒に行くことが出来ない。


 俺は指輪の代わりに、ネックレスか何かをと思ったのだが、これも女性側の趣向が入るので買いようがなかった。


 仕方がないので、今度会える日は食事をご馳走しようと思い始めた。


 俺自身、昼間は毎日ステーキハウスに入っているが、千奈美はステーキを食べるような金を持ち合わせていないと思ったので、今度はそこで分厚い肉を焼いてもらって一緒に食べる気でいた。


 俺は年末年始の休暇を楽しみにしていた。


 この寒い時期が終わって、新年になればまた少しは気候がよくなると思いながら……。