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 俺は夜景に飽きると、ベッドに潜り込む。


 千奈美は眠り続けていた。


 俺は悪い癖があって、夜寝るときに考え事をしてしまう。


 その夜もこれからの今井商事の行く末を思い、優紀子と誠の密会している様子などを考えていると、正直しんどい。


 ふっとベッドから起き上がった。


 ベッドサイドに付いている時計を見ると、午前三時を回っている。


 明日も通常通り仕事があるので、俺はここから出社するつもりでいた。


 俺が思いを巡らしたのは、大磯健介の父、龍造の悪だくみだ。


 龍造は大磯グループの総帥(そうすい)だが、昔からいくらでも悪いことをしてきた。


 香原財閥本体を乗っ取ってしまえば、海外に展開している事務所や支店なども残らず奪える。


 優紀子の父、洋平は死の床にあって、もうこれから先が望めない。