千奈美と結婚すれば俺は会社をガラリと変える。


 今、ここにいる香原財閥の人間たちや、同じく吸収合併済みの大磯グループの社員たちも残らず今井商事の傘の下に入ってしまって、俺はそいつらを従えることで、新生今井商事を作り出せるのだ。


 余計な人間たちは残らずリストラしてしまい、俺は相変わらず六本木のオフィスの社長室から指令を出しながら、会社経営を続けられるだろうと思う。


 幸い、アジアなどにある新興国向けの輸出品は増えている。


 俺はいずれそういった国々がビジネスのターゲットになると踏んでいた。


 毎日、新聞やネットニュースを見ていても、そういった記事ばかりだ。


 昔のようにアメリカが主軸となる経済は終わりを告げた。


 俺自身、いずれ二十一世紀という時代がそういった市場経済に移行することぐらい、分かっていたのだ。


 だから、香原財閥でも大磯グループでも頭の古い連中には遠慮なしに出ていってもらう。


 そして時代の空気を読めるような人間を育成していきたい。


 そう願っているからこその企業経営なのだった。