かなりの程度人が行き来する賑やかな街だし、俺も六本木にある社まで簡単に通勤できる。


 もちろん千奈美には社長夫人らしく、今勤めている会社は辞めてもらって、家庭の奥様に納まってもらうつもりでいた。


 俺自身、彼女に一切不自由させるつもりはない。


 金銭面でも愛情面でも。


 そして俺は言わずもがなで仕事を続ける。


 今井商事のかじ取り役は俺なのだ。


 いずれ古雅と高橋は追い出してしまう。


 社に必要のない人間には出ていってもらうのがベストだからだ。


 俺は半ば悠然と構えていた。


 社は吸収先から引き抜いてきた若手によって改革される。


 俺はその人間たちの熱意に期待していた。


 社内に蟠(わだかま)っている古い空気や体質を残らず壊してしまわないといけない。