地下一階に遺体が安置されていることは、知らされていた。


 俺は食事が終わると、ワイシャツに腕を通し、黒のスーツを着る。


 そして約束の午前九時に間に合うように、自宅前からタクシーを飛ばすつもりでいた。


 何気ない一日が始まっている。


 俺は自分が社長としての任務を果たせない間、ピンチヒッターで、副社長の大森に全てを任せるつもりでいた。


 俺が普段目を通す資料は、全て秘書課から大森のデスクに行くよう、電話で指示を出す。


 大森は賢いから、俺が普段していることは十分分かるだろう。


 俺が会社に復帰するのには今しばらく時間が掛かりそうだった。


 優紀子の件が済むまで。