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 タクシーが目黒の自宅マンションの前に辿り着くと、俺が掛かった料金を支払って車を降りる。


 相変わらず一月の寒気は体に堪(こた)えてしまう。


 俺は厚手のオーバーを羽織ったまま、自宅へと向かう。


 辺りはシーンと静まり返っていた。


 俺がキーホールにキーを差し込んで、開錠する。


 ガチャリという音がして扉が開いた。


 俺は何も言わずに自宅へと入っていく。


 優紀子は自室で眠っているようだった。


 ただ、変なにおいがする。


 何か人間の体が腐ったような、そんなにおいが。


 無言のまま、自室に入っていくと、いなかったときと全く変わっていなかった。


 俺は、