俺はそう思っていて、案外気が楽なのだった。


 いずれ千奈美との結婚生活も始まる。


 この冬は一際冷え込むのだが、俺はこれからのことを思うと、気持ちがホットになった。


 今日会社が終われば、俺は自宅マンションに帰る。


 そして近日中に離婚届を一通、自宅のある目黒の区役所からファックスしてもらう。


 それに必要事項を記入して、優紀子に署名と捺印までさせるつもりだ。


 これを目黒区役所に提出することで、離婚は無事成立するのだった。


 俺は一通りの清算が終われば、また千奈美との結婚生活に思いを馳(は)せることが出来る。


 午後二時から始まった幹部会において、今井商事は香原財閥・大磯グループ両社の株を百パーセント取得することを全会一致で決めた。


 俺にとって誤算はなかったわけだ。


 二つの企業体を解体してしまい、毒である部分は切除して、ちゃんと使えるところだけを綺麗に残す。


 俺は新しい社の幹部の陣容を整えるつもりでいた。