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 七階の会議室まで、俺はエレベーターを使って、降りていく。


 途中から古雅と高橋が入ってきて、俺の横で何やらひそひそと話し始める。


 俺は最初それが気になってしょうがなかった。


 だが、所詮は無能な部下だ。


 こいつらはいずれ追い出してしまう格好のリストラ予備軍だと思っていて、俺はあえて古雅たちの方を振り向かなかった。


 今井商事には先代の信太郎の代から、いい人間がたくさんいたらしい。


 そういった人たちは他社からヘッドハンティングされて、残らずいなくなってしまった。


 代わりに、後にはこの古雅と高橋のように会社内で遊んで過ごす連中ばかりが蔓延(はびこ)ったのだ。


 俺は苦々しく感じていた。


 早くこいつらを追い出してしまいたいと思っていて。


 香原財閥と大磯グループを今井商事が吸収してしまえば、両社からいい人間をたくさん入れ、間違いなく社を改革できる。