「はい、今井」


 ――あ、お疲れ様です。高橋です。もうすぐ幹部会を開きますので、会議場においでください。


「分かった」


 俺は端的に返事し、受話器を置く。


 勝負は始まったのだ。


 今井商事の将来を決める戦いであるのと同時に、千奈美との結婚も視野に入っている。


 俺は必要な書類を持ち、社長室を出、エレベーターへと向かう。


 出る直前に、秘書課の秘書が淹れてくれていたコーヒーを飲んでしまって……。