空をなくしたその先に

ビクトールにはあれから数回会っているが、そのことについては何も言っていなかった。

ちょっとした騒ぎの中、一人冷静なのはミーナだけだった。


「お茶でもいかが」


とビクトールを家の中に引っ張り込み、


「つもる話もあるでしょう」


とダナを家の外に押し出す。

さっさとカーテンがひかれ、中から外の様子はうかがえなくなった。


「……何しにきたの?」


先に口を開いたのはダナだった。

センティアへ行ってしまってから六年。

手紙の一通も届かなかった。

彼女も書かなかった。

忘れたわけではないけれど、彼の贖罪にダナは不要な存在だ。だから会わない方がいいと、そう思っていた。

ディオは柔らかく微笑んだ。


「……三日遅れの新聞を配達に」

「今は陸にいるんだから、当日中に届くわよ」


そうは言うものの、ディオの開いた新聞を受け取って記事に目をやる。

そのとたん涙があふれた。