ビクトールの防御線を突破して、背後から三機追ってきている。

ダナは機体を急降下させた。

重力に逆らうことなど知らないかのように、機体が落ちていく。


「う……」


悲鳴をあげかけた口を、ディオは片手で押さえた。

もう片方の手でベルトを握りしめる。

今度は、アーティカの援軍は期待できない。

この状況下で頼りにできるのは、ダナの腕だけだ。

彼女の集中力をそいではいけない。

その思いで、必死に悲鳴を喉の奥に閉じこめた。

足下に置いたバスケットを、かかとでしっかりと座席の下に押し込む。

こんなものを持たせたルッツを恨む。

座席の下からこれが飛び出すなんて事になったら惨劇だ。

今度顔を合わせたら、思い切り文句を言ってやろう。

……その機会があれば、だが。