空をなくしたその先に

髪を切り終えたディオが、椅子から立ち上がろうとしたところで、船がゆれた。


「空賊だ!」


船員たちの騒ぐ声。

けたたましく警報が鳴り響く。

思わずディオは苦笑した。

船の名前も同じ。まるであの時みたいではないか。

あの時とは違ってすぐに船員から、

空賊は撤退したので安心するようにと放送が入り、船内は落ち着きを取り戻した。

ただし船は故障したため、このままセンティアへ引き返すのだという。

ついてないな、とディオはため息をつく。

国に戻って、ビクトールを呼び出すつもりだったのに。

アーティカの船が護衛につくと聞いて、ディオは甲板に出た。
あの傭兵団がセンティアに貸し出されているとは知らなかった。
ビクトールもこちらに来ているのだろうか?

それならばわざわざ国に戻る必要はないのだが。

護衛についた小さな船の甲板に目をやって、思わず息を飲む。