前方から、小型戦闘機が発進していく音が聞こえてくる。

通話装置から離れたルッツが頭をかき回した。


「んじゃ、カウント。
ゼロと同時に反対方向へ。OK?」

「了解」

「生きて再会しようね……って俺ここから動かないけど」


そういうルッツに笑いかけ、
きゅっとゴーグルを直して、
ダナは操縦桿を握る。


「5……4……」


ルッツのカウントが始まった。
足元に押し込んだバスケットが飛び出さないことを祈りながら、
ディオはベルトを握りしめる。

「1……0!!」


ルッツの合図と同時に飛び出した。

首をねじれば、暗い夜空の中、はるか後方の空だけが赤く染まっている。

夜が明けるまで、何機が残っているのか。

それはディオには予想すらつかないことだった。