空をなくしたその先に

階段を駆け上り、ディオが見たものは。

フレディに連れられた、ダナの姿だった。


「ダナ!」


その声に二人とも、ディオの方をふりかえる。

明るくなったダナの表情と、苦々しげにゆがんだフレディの表情は対照的だった。


「思っていたより早く追いつかれたな」


フレディの顔をかすめる自嘲の色。


「連れていってしまおうと思ったけど、やっぱりやめておくか。

俺と一緒じゃ楽しめないだろうしな」


フレディは身をかがめた。

唇を重ねられて、ダナの目が大きくなる。

二人の間に割って入ろうとしていたディオの足が止まった。


「いつぞやの礼ってことで」

「あれはもう返したでしょ!」

ダナは、身体の前で交差させられたままの腕をふり回した。

肩からかけられていただけのフレディのコートが雪の上に滑り落ちる。

それを拾い上げてかけ直してやりながら、フレディはダナを抱きしめた。

これほど誰かを手に入れたいと願ったことがあっただろうか?