空をなくしたその先に

疲労困憊のディオに食事をさせて、彼女はディオを強引に寝室に押し込んだ。

抵抗する気力もない彼を寝かしつけたのは、メレディアーナ号から救出され、最初にこの島にきた時に通した部屋だった。


あの時と変わらず、へたくそな花の刺繍が壁に飾られている。

変わらないと思いながらディオがベッドからそれを眺めていると、ダナは立ち上がって額を壁からはずした。


「いやになっちゃうわね、

いまだにこんなの飾っているなんて」


見えないように額を裏返しにして、テーブルの上に置く。


「ダナが作ったの?」

「十年前よ、十年前。

今でもたいして上達したわけじゃないけど。

苦手なのよね、こういうの」

苦笑混じりに額を手でたたいてから、ディオの布団を直す。

「サラ様に教わって作ったのよね。あの人、本当にこういうのが得意で……」


ダナの唇が、やわらかな弧を描く。