空をなくしたその先に

実際ごく限られた公務は行うものの、ひっそりと王宮で暮らすことを望む女性だった。

両親ともに息子にはそれなりの愛情を注ぎ、

それなりにあたたかな家庭を築く努力をし、

それに成功していたのはディオも認めるところだった。

ただそれだけで、

ディオの目には互いにそれほど強い愛情を持っているようには見えていなかったというのに。

それでも今彼の前に立つ母は、ハンカチを握りしめて目を赤くしている。


「今後のことはフェイモス様に相談なさい」

「はい、母上」


うやうやしくディオは頭を下げる。

フェイモスとはディオの叔父にあたる人間だった。

ディオゲネスのすぐ下の弟で、ディオが生まれるまでは次期王位継承者とされていた人物だ。

王となるための教育を受けていた期間も長く、ディオゲネスの治世にあっては、宰相として辣腕ぶりを発揮している。