空をなくしたその先に

母親の顔を悲しみの陰が縁取っているのに気づいて、ディオは意外に思った。

長年夫婦としてやってきた情なのだろうか。

いくらディオが箱入りとはいえ、

くちさがない宮廷すずめたちのおしゃべりがまるっきり耳に入らないほどではない。

エレノアが王妃として迎え入れられたのは、

前夫との間に一子をもうけたからであって、

そうでなければ彼女の身分で王妃になることなどありえないと言うことは、

幼い頃から察してはいた。

ディオの父であるディオゲネス三世には、正式な王妃の他に寵妃がいた時代があった。

そのいずれも懐妊することなくこの世を去り、人生も半ばを過ぎてから迎えたのがエレノアだった。

夫と娘を流行病で失った後、

実家に身を寄せていたエレノアのところに話が持ち込まれたのは、

たまたま公務でセンティアを訪れていた王の目にとまったからだった。