ようやく見慣れた景色にたどりついた時、思わず目を閉じた。
同じ孤独に囲まれるのなら、生まれ育った環境の方がまだましだ。

生まれ育った王宮の入り口に車がとまる。

茶の屋根を抱く真っ白な大きな建物。

真っ青な空に映えるそれを見上げながらディオは車から滑りおりた。

ここから先は、今までとは違う。

忘れかけていた王族としての顔を作る。

ディオの視線の先にあるのは、王宮の入り口へと続く階段だった。

ようやく戻ってきた王位継承者は、王宮の警備兵たちがずらりと並んで見守る中を、ゆっくりと進み始める。

一つ一つの段をしっかりと踏みしめて、入り口に到達した。

扉の両脇に控えていた兵士たちが、大きく扉を開け放つ。

ディオは最後にちらりとだけ背後をふり返った。

王宮の中へと入っていくディオを見守るアーティカの兵士たち。