狭いトコだけど、
と申し訳なさそうにルッツはディオを招き入れた。

通されたルッツの部屋は、
ベッドが一つあるだけの簡素なものだった。

軍用艦に快適さは必要ないということなのだろう。

小さな窓に狭いベッド。

天井も低く、小柄なディオはともかく、
ルッツは天井に頭がついてしまいそうだ。

壁には上着と帽子がならんでかけられていた。


「俺たちの島まで、半日くらいかかるからのんびりしているといいよ。
昼寝してもいいし」

「ルッツさんは?」

「ちょっと機体の整備に行って来るよ。
あ、鍵はかけないでね。
誰か君を呼びに来るかもしれないし」


ひらひらと手をふって、
ルッツは部屋を出て行った。

昼寝をしてもいいと言われても落ち着かない。

ベッドに腰をおろして、ディオはネクタイを緩めた。

上着は脱ぐ気にはなれない。

確かにアーティカとは、
長年の間契約を結んでいるが、傭兵など信用できない。

気をひきしめなければ。

小さな窓から見える空は、
茜色に変わり始めていた。