「ようこそ、フォルーシャ号へ。
俺はルッツ・クライトン。
ルッツでいいよ」

「ディオス……
ディオ……ヴィレッタです。
どうぞよろしく」


危うく本名を名乗るところだった。

口ごもったディオを、疲れているのと勘違いしたのかルッツは優しく肩を叩いた。


「本拠地に着くまで、少し休むといいよ。
こんな船だからお客様用の部屋はないけど、
俺の部屋使ってくれていいから」

「あたしは、ビクトール様のとこに行ってくる。
後まかせていい?」

「いいよー。
君が着艦したら、俺はお役目ごめんだし」


脱いだ帽子とゴーグルを、
右手でふらふらさせながら、
ダナは船の中へと入っていく。
その後ろ姿を見送りながら、ルッツは言った。


「彼女の操縦、荒っぽかったろ?」

「死ぬかと思いました」

「堪忍してやってよ。
あれで、うち一番のパイロットだからさ……。
まあ、戻ってきたのは久しぶりなんだけど」

素直な感想に、
ルッツは口元をにやりとさせて一応のわびらしきものを入れた。