「病院内の売店は?」

「欲しい物を言えば部屋まで届けてもらえたから、行ったことない」


配達までしてもらっていたとは、かなりの好待遇だ。


「旅券は……ダナみたいな生活してたら必要ないだろうな」


飛行島クーフからほとんど出ることなく。

まれに出ることがあっても、出撃だとすれば、旅券など必要ない。

どうやって、ダナの分の旅券を手に入れようか。

考え込みながら、ディオは小袋をダナに返そうとする。


「それ、ディオが持ってて。使い方もわからないし」


あっさりと言われて、ディオはうめき声をあげた。

こんな大金、持ち歩いたことがない。

今まで以上に緊張を強いられる旅になりそうだった。