◆Side:祠稀



―――ガンッ!!

錆びれたシャッターに拳を叩きつけると、静寂な路地裏に唸りにも近い声が響く。


「クッソ……!」


薄暗い路地裏には、気絶する俺の仲間。俺はそいつらを壁側に運んで、血を流して倒れていた今日の“ターゲット”をネオン街に追い返した。


それなりに、強い奴らなのに。

その全てが彗によってやられたなんて、考えたくもなもない。チカですらやられるなんて。


……しくじった。どこでバレた?


そんなこと、分かってるのに。大雅に口を滑らした、俺のミスだ。


違う、アレは俺が自ら言ったんだ。


違う、俺は言うつもりなんか……。


「し、き……」


混乱していた頭に、馴染むように響いてきた声。ゆらりと顔を上げれば、気を失っていたチカが俺を見ていた。


今にも泣きそうな顔だった。


「……大丈夫か、チカ」


足を進めてしゃがみ込むと、チカはずるりと壁に寄りかかり、笑った。