僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



ちらりと男を見ると、立ち去る気配はない。聞かれたくないのか、あたりを警戒している。


今までは、名前を出すだけで逃げる人ばかりだったから……もう少し、聞けるかもしれなと思った。


「……人数は? リーダーの顔、分かります?」

「はぁ!? 知らねぇよ。毎回出てくる奴が違ぇから」


じゃあ、結構大人数ってことかな。


「ああ、でも」


考えを巡らせるのをやめて男の顔を見遣る。


「毎回ひとりだけ、同じ奴が出張ってくるって話。顔は分かんねぇんだ。パーカーのフードを、いっつも眼深にかぶってるから」

「パーカー……」


眼深に被ってるそいつを探せば、当たりかな……。


「とにかくっ! ここで遊びてぇなら、死にたくねぇなら、関わるのはやめとけよ!」

「……そのグループは、何をしてるの?」


ぼそぼそと話して立ち去ろうとした男に最後の質問をすると、男は俺に近づいて、小声で呟いた。


「最近は、バーの店員片っ端からリンチして、金巻き上げてるってよ」


離れる間際に男は俺の腕をぽんと叩き、「じゃあな」と踵を返した。