僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「な、凪!? 何してるの!?」


有須が自分の両頬を手で押さえて、目を見開いている。あたしは短く息を吐いて、今度こそ自然に笑った。


「喝入れたの!」

「喝って、アカンで凪! 俺を殴ればええやん!」

「ドMか」

「そういうんとちゃうやろ、大雅のアホ!」


遊志と大雅のかけ合いで、重かった空気が緩やかに和んでいく。


あたしは両頬の痛みで、胸に広がる痛みをごまかしていた。


いつまでも、彗に甘えていられない。


大雅が話してくれたことは、本当なのか、そうじゃないのか分からないけど。本当かどうか調べる術すら、ないけれど。


祠稀が闇夜の威光のリーダーであることは、本当だと思う。


どうして? なんで?

あたしの知りたいという欲は、抑えきれそうにない。


祠稀が帰ってきたら、聞いてみよう。はぐらかされても、知らないふりをされても。


あたしは何度でも聞こうと、決心していた。