僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「!」


突然目の前を横切った腕にハッとすると、彗が沸騰したココアを火からおろしていた。


「……あ、ごめん」

「うん」


その時、やっと彗と目が合った。


眉を下げて慰めるようにあたしを見下ろす、色素の薄い瞳。


「危うく焦げるとこだったね」


へつらうように笑うと、彗は口の端だけ上げて、ココアをあたしと有須のマグカップに注ぐ。その姿に、後悔した。


むりやり笑っても、彗が気付かないわけないのに。


「……ごめん」


彗はマグカップをトレーに置いてから、謝ったあたしをそっと瞳に映す。


「どうして?」

「……」


首を傾げてあたしを見つめる彗は、どれだけ優しいんだろう。


一瞬だけ頬を撫でられ、リビングに向かう彗の背中を見ながら、泣きそうになった。


結局あたしはぼんやりしていただけで、ろくに飲み物を淹れられてない。


―――バチンッ!


突然リビングに響いた音に、彗たち4人が驚く。