「委縮って……その、威光ってグループは、何か悪いことでもしてるんですか?」
有須が言ったことは、あたしも真っ先に思ったことだった。
そんなことはないと思えないのは、祠稀が喧嘩するところを何度も見てきたからかな……。
嫌な緊張感が漂う空気の中、大雅は思い惑うような沈黙をはさみつつ、口を開く。
「俺が聞いた話と調べた情報じゃ、褒められるもんではないよ。薬売ってるとか、援デリの仲介やってるとか、高い利子つけて金貸してるとか。そういうことするために、使えそうな未成年を集めてるとか」
……頭痛がしてきた。
そんなことするグループのリーダーが、祠稀? 未成年が、未成年を使うの?
本人以外の人から聞く話ほど、不安にさせるものはない。
ついさっきまで楽しくケーキを食べていたはずなのに、大雅の話す内容は重い空気を残しただけで、何も現実味がなかった。
「……凪。……もう、やめとく?」
不意に、手の平の上に温かさを感じて顔を上げる。彗が心配そうにあたしの顔を覗いていた。一瞬言葉を失って、すぐに首を振る。
……踏み込んでしまったんだ。
もう、引き返せない。
彗の言葉に話を中断した大雅は、あたしが首を振ったのを見たのか、先ほどより幾分か話しづらそうにしていた。



