「“闇夜の威光”って知ってる?」
あんやの……いこう?
そんなの、知らない。聞いたこともない。
「まあ知らへんよなぁ、ふつう。俺かてなんのこっちゃと思たで」
「遊志うるさい。で、祠稀くんはそれのリーダーらしいんだよね」
隣で泣きそうになってる遊志を完全に無視して、大雅は耳の後ろを掻いた。
……言ってる意味がよく分からない。
そんな自分にも腹が立つし、初めて聞いたその言葉に、たいして祠稀のことを知らなかったんだと苦笑まで出てくる始末。
「……それ、なに? リーダーって、グループか何か?」
彗の問いかけに、大雅は肩をすくめる。
言いづらい、そんな感じ。でも言わなければならないとは思っているんだろう。
答えるのに、そう時間はかからなかったから。
「夜の街で、圧倒的に権力を持ってるグループだよ。昔からあったらしくて、闇夜の威光って言うと、誰もが委縮するって話」
夜の街で、権力を持ってるグループ……?



