僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「“闇夜の威光”って知ってる?」


あんやの……いこう?


そんなの、知らない。聞いたこともない。


「まあ知らへんよなぁ、ふつう。俺かてなんのこっちゃと思たで」

「遊志うるさい。で、祠稀くんはそれのリーダーらしいんだよね」


隣で泣きそうになってる遊志を完全に無視して、大雅は耳の後ろを掻いた。


……言ってる意味がよく分からない。


そんな自分にも腹が立つし、初めて聞いたその言葉に、たいして祠稀のことを知らなかったんだと苦笑まで出てくる始末。


「……それ、なに? リーダーって、グループか何か?」


彗の問いかけに、大雅は肩をすくめる。


言いづらい、そんな感じ。でも言わなければならないとは思っているんだろう。


答えるのに、そう時間はかからなかったから。


「夜の街で、圧倒的に権力を持ってるグループだよ。昔からあったらしくて、闇夜の威光って言うと、誰もが委縮するって話」


夜の街で、権力を持ってるグループ……?