僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「緊張してるの?」


見上げると、あたしのマグカップを持った彗が立っていた。彗は隣に座り、マグカップを手渡してくれる。


「何もないことを願うよ、あたしは」


ほとんど自嘲に近い笑い方をすると、彗も深くソファーにもたれて「そうだね」と呟いた。


「かぼちゃのケーキは俺のやで!?」

「え? 遊志はチョコでしょ?」

「なんでやねん! 大雅、チョコがええ言うたやんけ!」

「ちょ、喧嘩しないでください!」


キッチンに目をやると、喧嘩する遊志と大雅を止める有須の姿。


……呑気というか、なんというか……。



――2日前。遊志に有須を送らせた日。有須が暗い顔で帰ってきたから、話を聞いた。


祠稀が何をしているのか、大雅が知っているかもしれないと。もしかしたら、危ないことかもしれないと。


そう有須が不安そうにして、あたしは遊志に連絡した。それで、今に至る。


何もないかもしれない。
でも、あるかもしれない。



大雅が何か知っているなら、あたしは聞きたいと思った。それが、祠稀の傷に繋がるかもしれないと思ったから。


あたしはどこまでお節介なんだろうと思いながら、それを止めることはできなかった。