僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「大丈夫やで。何もないかもしれんし。あったとしても、大丈夫や。大雅がおるからな」


そう頭を撫でられても、安心はできなくて。


大雅先輩がいるから大丈夫と言う意味も分からなかった。


「……祠稀が向かった先は、何がある街なんですか?」


地元でもないから、聞いたところで想像はできない気がしたけれど、遊志先輩は教えてくれる。


「歓楽街、って言うんやろか。夜の住人が集まる、娯楽の世界やな」

「……、夜」


自分のイメージを否定したかった。テレビからしか覗いたことのない夜の世界。夜の住人。


あたしの中で決していいイメージはない場所に、祠稀がいるってこと?


「絶対に危ない場所ってわけちゃうよ? ただ、未成年が遊びに行くような場所ちゃうで……」


遊志先輩の声が、耳を通り抜ける。


聞こえないわけじゃなかった。聞きたくなかった。


祠稀……。いったい、何をしてるの?