「大丈夫やで。何もないかもしれんし。あったとしても、大丈夫や。大雅がおるからな」
そう頭を撫でられても、安心はできなくて。
大雅先輩がいるから大丈夫と言う意味も分からなかった。
「……祠稀が向かった先は、何がある街なんですか?」
地元でもないから、聞いたところで想像はできない気がしたけれど、遊志先輩は教えてくれる。
「歓楽街、って言うんやろか。夜の住人が集まる、娯楽の世界やな」
「……、夜」
自分のイメージを否定したかった。テレビからしか覗いたことのない夜の世界。夜の住人。
あたしの中で決していいイメージはない場所に、祠稀がいるってこと?
「絶対に危ない場所ってわけちゃうよ? ただ、未成年が遊びに行くような場所ちゃうで……」
遊志先輩の声が、耳を通り抜ける。
聞こえないわけじゃなかった。聞きたくなかった。
祠稀……。いったい、何をしてるの?
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