「……祠稀?」
「やんなぁ!?」
道路を挟んだ反対側の歩道で、数人と歩いているのは確かに祠稀だった。
用事があるみたいだったけど、まだ終わってないのかな?
「どこに行くんだろう」
祠稀が進む先には、あまり行ったことがない。というより、何があるのかよく知らない。
そうこう考えているうちに祠稀は曲がり角に消えてしまい、あたしは首を捻る。
今日も遅くなるのかな?
「……祠稀くんって、何してるん?」
声に顔を上げると、遊志先輩は神妙な面持ちで祠稀が消えた先を見つめていた。
ザワッと、言いようのない不安が心を駆け巡る。
「わ、分かんないです」
「アカンな……大雅に聞いてみんと」
……何が? なんで、大雅先輩に聞く必要があるの?
ドクドクと鳴る心臓が苦しくて俯くと、大きな手が頭に添えられる。
見上げると、神妙な面持ちが消えた、無邪気な笑顔があった。



