僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



◆Side:有須


……暗くなってきた。


冬至を過ぎて、少しずつ日が暮れるのが遅くなってる。それでもきっと、夕方と夜の境は一瞬で終わるように感じた。


凪、どこに行ったんだろう。


病院の庭とも言える場所は冬のせいか、あたし以外誰もいなかった。それを確認してから、再び病院の中へと戻る。


自分が着るポンチョの裾を揺らし、持ってきた凪のウールコートを胸に抱く。


コートも着てないし、財布も持ってないんだから、病院の敷地内にいると思ったんだけど……。


病院の中へ入ると、案内パネルを探した。病院内はくまなく探したんだけど、他に行ってない所があるかもしれない。


「……えっと……」


すぐに見つけたパネルの前で立ち止まり、簡単な見取り図のようなそれを眺める。


1階から2階までは各診療科や各種検査室で埋まっていて、3階から7階まではほぼ病室だ。


……各階にデイルームがあるんだよね。もう1回、探してみるしかないかな。


眉を寄せながらパネルを見ていると、4階にガーデンホスピタルという文字を見つける。


「……」


こんなところあったかなと思うより先に、総合案内所へ向かった。


正面玄関のすぐそばにある案内所にはふたりの女性係員がいて、ひとりは対応中。もうひとりは、手元に視線を落としていた。


「あのっ」


足を止める前に声をかけると、顔を上げた係員と目が合う。


「はい。どうなさいました?」


目の前に立ったあたしへ笑顔を向ける係員に、少し乱れた息を整えてから尋ねた。


「あの、4階にあるガーデンホスピタルって……」



――パッ、と。視界の端で正面玄関の明かりが点いたのが分かる。あたしは説明してくれた係員の人に頭を下げ、踵を返した。