「あがー! 寒っ! もう冬ちゃうん!?」
コンビニを出ると、遊志先輩は二の腕をさする。
空にはぼんやりとした光をまとう三日月が浮かび、雲に隠れるところだった。
「はい、有須ちゃんにもあげるわぁ!」
月から遊志先輩に視線を移したはずなのに、視界いっぱいにココアがあって、思わず受け取ってしまう。
「え、あ、すみません…っ! ありがとうございます!」
「ええよええよ〜。寒いから温まらな!」
遊志先輩って、いい人なんだなぁ…。凪に、いい人だねって言ってみよう。
送ってもらったんだから、何か恩返しをしないとね。
「ほな行こ……ん?」
プルタブを立ち上げた時、遊志先輩がコンビニの前にある道路を見て声を発した。
「どうしたんですか? 道路に何かありました?」
「いや道路ちゃう! アレやアレ! 向こう側の!」
「え?」
勘違いした自分を恥ずかしく思いながら、道路の向こう側に目を凝らす。



