「あ、コンビニ寄ってもええ? コミック買いたいねん!」
遊志先輩がマンションの近くにあるコンビニを指差して、思い出す。
「あたしも買いたい雑誌ありました」
ふたりでコンビニに入り、それぞれが欲しいものを手に持ちレジへ向かう。
先に会計をしていると、遊志先輩がレジ横にあるホット缶のサーバーを見ていた。
「410円のお返しです」
「あ、はいっ」
釣銭と雑誌を受け取ると、遊志先輩の会計が始まる。横にずれて覗くと、サーバーを見ていた意味が分かった。
「遊志先輩、ココア好きなんですか?」
「ん~……凪の影響やな。ココア見ると凪思い出してもうて、つい買ってまうねん」
「よ、よっぽど好きなんですね……凪のこと」
聞いてるあたしが恥ずかしくなってきた……。
そんなあたしに、遊志先輩は茶化すように白い歯を見せて笑った。
「重症やねん」と、本当の気持ちを言いながら。



