「あの、颯輔さん……言い方が悪いかもしれないんですけど……凪は中学生の時、仲がいい子はいましたか?」
有須の質問に颯輔さんは微笑むけれど、やっぱりどこか寂しげだった。
「……よく遊ぶ子はいたよ。彼氏もいたし、凪が話してくれたから知ってる。……一度も家に連れてきたことは、なかったけど」
表面上だけっつーか、颯輔さんを安心させたいがためか。
……盲点。中学時代の友達なんて、一度も考えつかなかった。
「じゃあやっぱり、凪は中学の友達のところに行ったと思う」
「……可能性はなくはないけど……どうして?」
彗の質問に、有須は「えっと…」と少し言い惑う。
「凪は、そんなに器用じゃないと思うから……に、人間関係?っていうか……」
「……」
一夜限りの関係のことだろ?とは、さすがに颯輔さんの前では口にできなかった。
こっちに来てからは早坂としか関係を持ってなかったとこからして、二度三度はできたとしても、続けるのは嫌そうに思える。
ヤるのが好きならまた別だけど、凪は早坂をサヤと呼んでたらしいし……代わりにならなければセックスする意味がないとか、そういうことか?
色々と考えを廻らせていると、有須の「それに」という声。
「きっと、中学の友達は知らないでしょ……?」
何が?と聞かなくても、有須が先ほど言い惑った理由で分かった。
俺らの口からは、凪の想いを颯輔さんに告げてはいけないと、この場にいる全員が思ってる。ハッキリと口にしていいのは、凪だけだ。
「知らないよ、100%」
有須の言葉にいち早く答えたのは、早坂だった。
「俺は逆に、凪は中学の同級生に執着心がないと思ってたから、可能性はほぼないと思ってたけど……ありえるな。こっちに来てからまだ8ヵ月だし、頻繁でなくても連絡くらいは取ってただろ」
……一夜限りの関係よりも、さして親しくもない祖父を頼るよりも、中学の3年間欺き続けた奴らを利用するほうが簡単、ってか。



