颯輔さんが凪と向き合うことを決めても、肝心の凪はどうするのかわからない。
そこがもっとも重要なのに、居場所すらわからない。
「……うん、俺も凪が祖父のとこに行くとは思えないし……早坂のとこでもなければ、こっちの友達でもないとなると……そうだな」
早坂と話していた颯輔さんが考えるように眉を寄せると、ふと、同じように悩ましげな顔をしている有須が目に入る。
「俺も色々あたってみるけど、地元の同級生くらいしか――…」
「あっ!!」
有須の大声に隣にいた彗がビクッと驚き、俺を含めた3人も有須を見つめた。
「……なんだよ。どーした」
口元を抑える有須に声をかけると、相変わらずしどろもどろな声が耳に届く。
「あの、えっと……そ、そこだと思う……」
「は? そこってどこ」
「えと、だから、凪がいる場所……中学の友達のとこ、だと……思わない?」
いや、全く?
俺も彗も同じように顔に出たのか、有須は段々と縮こまっていく。
「あの、あたし……ずっと凪がマンションを出てった理由を考えてて、それで……あれ?って引っかかったことがあって……」
理由? 凪は颯輔さんを愛してるって事実を、俺と有須に知られる気はなかったから、もう一緒に住めないって。彗のことを俺らに任せるって、出てったんだろ。
それで、きっと颯輔さんへの想いに何かしら答えも出そうとしてるんだろ?
誰にも頼らないで。それのどこに引っかかるんだ。気に食わないとかなら分かるけど。
「あたしだったら、無理だけど……その、いじめられてたから……」
「「――…」」
俺も彗も、うっかりしてるにもほどがある。煙草を灰皿に押し付けながら、そう思った。
彗は言うまでもなく、ここに来るまでは相当な人嫌いで、中学時代に仲良くした人物なんていないだろう。
俺の生活は威光が中心で、その仲間はいたけど……学校で友達とかいた覚えがない。けど凪は違うだろ。絶対と言ってもいい。



