「だいぶひねくれてますけどね。俺も凪も」
「……正直で、少し頑固なだけだよ。きっと」
颯輔さんの言葉を最後に、リビングが静かになる。
劇的な変化が起こったのか、これから起こるのか。どちらにしても、後戻りはできない。
ゆったりと、確実に時間は流れる。遅く感じる時も早く感じる時もあるのに、今はただ、長いと感じた。
過去を含めて長いのか、今この夜が長いのか、分からないけど。とりあえず俺たちは今、やっとスタート地点に立った気分だ。
「……凪の居場所は、分からないんだよね」
なんとなく吸おうと思って煙草を取り出した手を止める。
「うん……もうすぐ冬休みだから、学校始まるまでは戻ってこないと思う」
返事をしたのは彗で、颯輔さんは早坂に視線を移した。
「……3人とも、凪が不眠症なのは知ってますよ」
「そう……じゃあ、凪は眠剤を持ってる?」
「微妙です。……こいつら3人の反応を見た限りでは、さほど持ってないとは思いましたけど」
「「「……」」」
カウンセラーって、コワ……。
凪が服用間違ってないとは言い切れないだろっては言ったけど……大量服用したなんて一度も言ってねぇのに。
表情とかでバレるもんなのかと思っていると、煙草を口に咥えた俺を、早坂が呼んだ。
「威光……だっけ? その辺から割り出せないの?」
「……」
煙草に火をつけながら、携帯を取り出す。何か情報が入れば連絡が来るはずだが、メールも着信もない。
「俺らが詳しく調べられるのは、あの歓楽街周辺と関係者だからな。情報屋に聞くって手もあるけど、県外に行かれてたらきつい」
誰か男を利用するとなれば、この辺りじゃあの歓楽街が凪にとっては好都合だと思ってたけど……そう上手くはいかねぇか。
「……凪は誰にも頼らないで、ひとりでどこか行ったってことだよね?」
「ええ、そうなりますね」
颯輔さんと早坂が会話してる中、俺はぼんやりと、どうなるんだろうと思っていた。



