「話を聞いて、同情しなかったわけじゃないです。でも許せるとも思わなかった。だから、関わっていこうって決めたんです。凪が話してくれたから、答えが出たんです」
「……さよか」
「大雅先輩が逃げずに謝ってくれて……大雅先輩も、遊志先輩も、前に進んで行くんだろうなって思って。あたしだけ、進まないわけにはいかないじゃないですかっ!」
笑顔を見せると、遊志先輩も微笑んでくれた。
涙を浮かべているようにも見えたけれど、きっと月明かりに照らされて、キラリと光っただけ。だと、思っておこう。
「凪のおかげ、みたいなもんやなぁ……」
大きく溜め息をついて歩き出す遊志先輩を追いかける。
「凪は無敵ですもん! 誰であろうと、手を繋いで引いてくれますよ」
「ははっ! せやなぁ……ライバル、多そうやなぁ……」
急に肩を落とす遊志先輩に、あたしは焦る。
「だ、大丈夫ですよ! きっと凪といちばん遊んでるの、遊志先輩ですもん!」
「え! ホンマに!? いよっしゃぁー!!」
多分ですけど、違ったらごめんなさい……。
万歳する遊志先輩の背中に、こっそりと謝った。



