僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ



「俺が掻き回してるように見えるか? だったら彗、お前が何か言え。お前が守りたいもんを、自分なりに守ってみせろよ」


俺に助けてと言った彗の中に、明確な答えなんかないだろう。


ただ漠然と、凪のことも颯輔さんのことも守りたいと思っていて、でも方法なんて分からないから、踏み込むことを恐れてる。


だから俺が颯輔さんに切り込んでいくのが、怖くなったんだろ。


「生半可な覚悟なら、いらねぇんだよ」


そう言った俺を、彗は眉を寄せたまま睨んでくる。それが怒りでも嫌悪でもないことを分かってて、受け流す。


「悔しいなら、逃げないって言ったことくらい守ってみせろ」


守る覚悟があるって。だからもう逃げないって言ったのは誰だ。


……こんなの、無理強いしてるようなもんで、まるで彗を虐めてるみたいだけど。


きゅっと唇を噛んで俯いた彗の気持ちを、踏みにじろうとしてるわけじゃない。


俺は、凪が颯輔さんを愛してるなんてひと言も言ってない。颯輔さんはそれについてどう思ってるかなんて、いっさい聞いてない。


だから言わせんだよ。颯輔さんが自分の口で、どう思ってんのか、どうしたいのか、言わせるべきだろ。


彗も有須も優しすぎる。それが悪いって言ってんじゃない。俺にはできないだけだ。


「颯輔さん……」


再び呼ぼうとした名前を先に発したのは、彗だった。


「祠稀が言ったことが図星かそうじゃないかは、いいんだ……。俺もずっと、感じてたことだから」


彗は何とも言えない表情を浮かべる颯輔さんを見ることなく、頭を垂らしながら続ける。


「凪が大事だから、傷付けたくないって気持ちは分かるよ……。だけど、颯輔さんが気付かないふりをするのは自分のためだって……逃げてるだけだって言われるのも、分かる」


すっと顔を上げた彗の瞳はまだ、濡れていた。